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4.OMソーラーの暖房性能

暖房性能データの採取

OMソーラーの設置を計画する時に最初に抱く疑問は、「OMソーラーで室温が何℃上がるだろう?」、「OMソーラーの家では冬の室温は何℃程だろう?」であろう。これに応えるのが下の2つの図である。

下図は1日の屋根熱量と、その日の早朝最低室温と日中最高室温の差をプロットしたもので、OMソーラーが室内温度を上げる能力と考えられる。 即ち、その時季の日照と、屋根面積、勾配を与えればOMソーラーにより上げられる室温が推定できる。

屋根熱量と上昇室温の関係

当山荘の場合は寒さの最も厳しい1月で1日晴れていれば屋根熱量50,000kCal/day程なので室温を5℃上げてくれると期待できる。日差しが強くなる2月下旬から3月になれば7℃程上げてくれる。なお、図中朱色の点は冬至の前後約2ヶ月のデータで、太陽が低いため屋根から得られる熱だけでなく窓から直接入る日差しの熱が加わり、高めの値になったと推測している。

夜間建物からの放熱で室温がどれほど下がるかを示したのが下図である。

内外温度差と下降室温の関係

夜間の外気温が低ければ室温の下がり分も大きいと予想されるので、建物内外の温度差と室温下がり分の関係をプロットした。建物内外の温度差は日中と夜間早朝で異なるが、簡単のため、前日の室温と外気温の夫々の最高値の差と、当日早朝の夫々の最低値の差の平均値をとった。「内外温度差と下降室温の関係」から夜間の室温降下は内外温度差と比例関係があることが認められ、建物の保温性能(断熱性と気密性)を示していると考えられる。

安定した気象の下では暖房で上がる温度と放熱で下がる温度が一致する点で平衡状態となり、室温が定まる。1月を例として取り上げると、OMソーラーが上げる5℃分に一致する夜間の室温下がり分の条件を求めると、「内外温度差と下降室温の関係」より夜間の建物内外温度差は約14℃となる。

早朝の最低外気温−7℃、最高外気温3℃として平均室温12℃が期待できる。2月下旬から3月になれば7℃分の室温下がり分に対する建物内外温度差は17℃となり、最低外気温−3℃、最高外気温7℃として平均室温19℃となる。

補助暖房として採用した薪ストーブ

【写真】OMソーラーでは熱量が足りない時に薪ストーブの出番が来る。両者の相性はすこぶる良い。

以上が晴天が続いた場合の凡そのOMソーラー暖房能力と期待できる室温である。実際には曇天降雨降雪があることもあり、快適に過ごすためには補助暖房が必要であるが、補助で済むことがOMソーラーのありがたいところである。

別荘として利用する場合は冬期の水道凍結を防ぐための水抜きの煩わしさや電熱の費用発生を解消してくれるのもOMソーラーのありがたさである。上記2つのグラフは、山荘に滞在中の補助暖房やその他機器の使用による擾乱の影響を除くため、留守中のデータを抜き出したもので、更に低気圧や前線の通過による気象の急激な変化のある場合も除いている。

暖房性能についての検討

本節は前節の2つのグラフの関係について数式を交えた検討であり、お急ぎの方はパスして頂いて構いません。

家の横にある胡桃の枝を跳ぶリス

【写真】家の横にある胡桃の枝を跳ぶリス(本文には関係有りません)。

下図は典型的な冬の一日の温度変化を模式的に示したものである。外気温は早朝未明の5〜6時頃最低となり日照を得て上昇し午後1時ごろ最高となる。室温はそれより少し遅れて朝6〜7時頃最低となりOMソーラーの運転で得られる熱や窓から入る日差しの熱が蓄積して上昇し、OMソーラーの運転が終了する前の午後3〜4時頃最高となる。

OMソーラーの消費電力

この間の熱量の動きを下のイラストに示す。日中は取り入れられる太陽熱と建物からの放熱の差が建物に蓄積され、夜間にそれが放熱される。これらの関係を粗い近似の数式を交えて検討してみよう。

OMソーラーの消費電力
Q:熱量 Qin:太陽熱, Qout:建物からの放熱, Qst:蓄積される熱量, Qloss:失われる熱量
C:建物の熱容量
R:建物の保温力(放熱抵抗)
T:温度 Tin:室温, Tout:外気温, 儺av:内外温度差の平均値,
    Tinmax:最高室温, Tinmin:最低室温
t:時間 tday:1日の時間, tsun:日中の時間, tnight:夜間の時間

日中蓄えられる熱量 Qst は

Qst = Qin − Qout
      = Qin −∫(C/R)(Tin−Tout) dt
      ≈ Qin − (C/R) 儺av tsun

ここでTin−Toutは時刻の関数であるが、処理を簡単にするため平均値を取って定数とした。

夜間失われる熱量 Qlossは

Qloss = ∫(C/R)(Tin −Tout) dt
     ≈(C/R) 儺av tnight

平衡状態ではこれらが等しくなるので

Qst = Qloss
Qin −(C/R)儺av tsun =(C/R) 儺av tnight
Qin = (C/R) ( tsun + tnight) 儺av
      = (C/R) tday儺av
儺av = (R/C) Qin / tday -----------------(1)

(1)式は外気温より室温をどれだけ高く保てるかを表しており、太陽からの熱量と建物の保温力に比例することがわかる。OMソーラーの取入れが隔日に行われるとすると、tday を2日分の時間と考えればよいので、保てる温度差は半分になる。 次に室温の昇降を見ると

Qst = Qloss = C(Tinmax – Tinmin)
  Tinmax – Tinmin = (1/C)Qloss
           = (1/C) (C/R) 儺av tnight
           = ( tnight /R) 儺av ----------------(2)
          = ( tnight /R) {(R/C) Qin / tday}
          = (1/C)( tnight / tday ) Qin ----------------(3)

(3)式は「屋根熱量と上昇室温の関係」のOMソーラーによる室温上昇の関係を示しており、屋根熱量に比例することならびに建物の熱容量が影響することがわかる。OMソーラーは基礎コンクリートに蓄熱することを標準にしているが、別荘として使う場合は昇温の程度は使用者の好みが分かれると考えられる。 (2)式は「内外温度差と下降室温の関係」の夜間の放熱による室温降下の関係を示しており、建物内外の温度差に比例することならびに建物の保温性能がよければ降下が小さいことがわかる。

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